【ついてれば安心は嘘!!】宝石の鑑定書と鑑別書の違いを詳細解説

最近では通信販売やテレビショッピングでジュエリーを購入される方も増えてきています。

そして、昔に比べて単価の高いジュエリーをネットや通販で購入される方の割合も増加しており、高額品を通販で買う事への抵抗感も減ってきています。

そんな中で、通販などでジュエリーを購入される際、あなたはどんな点を重視しているでしょうか?

もちろん価格やデザインは当然だと思いますが、『鑑定書がついているかいないか?』でジュエリーの良し悪しを判断しているとしたら要注意です。

本記事では、鑑定書や鑑別書だけで判断するのが危険な理由や鑑定書と鑑別書の違いについても詳細に解説していきます。

ジュエリー購入の際に、鑑定書や鑑別書はどのような点を確認すべきかも解説していますので、ネットや通販でジュエリーを購入する際の参考にしてください。

鑑定書と鑑別書は何が違うのか?

まず、宝石には鑑定書と鑑別書の2種類があります。

鑑定書と鑑別書を一緒に思っている方も多いのですが、鑑定書と鑑別書は別物です。

鑑定書と鑑別書の違い①

  • 鑑定書・・・ダイヤモンドにのみ付属する
  • 鑑別書・・・宝石全般(合成石・模造石など含む)に付属する

鑑定書はダイヤモンドにのみ付属し、ダイヤモンドの4Cの評価や形状、内放物の位置などが記載されています。

ダイヤモンドの評価は4Cによって大部分が決まりますので、鑑定書はダイヤモンドの価値を証明したものとも言えます。

対して、鑑別書は全ての宝石に付属します。

なぜならば、宝石の鑑別書は『鑑定した石が一体どんな宝石か』を記載したものだからです。

例えば、透明でキラキラ輝く石が目の前にあったとして、その石がダイヤモンドなのかキュービックジルコニアなのかを見ただけで見抜くのは非常に困難です。

そうした宝石を鑑別機関の専用の機器を使ってその石が何なのかを調べてもらうわけです。

また、ルビーやエメラルドなどのカラーストーンは色の改変を目的とした処理が行われている事も多いので、どんな処理が行われた宝石かも同時に知る事ができます。

鑑定書と鑑別書の違い②

  • 鑑定書・・・ダイヤモンドの価値を知る事ができる
  • 鑑別書・・・宝石の真偽を知る事ができる

鑑定書と鑑別書は料金さえ払えば作成可能

鑑定書や鑑別書は、鑑定機関に料金さえ払えば付属する事が可能です。

鑑定書はダイヤモンドのグレードを評価した結果を記載したものなので、鑑定前のダイヤモンドの品質は問いません。

そして、鑑別書は宝石名を調べるために鑑別を依頼するので、宝石の真偽は問わないわけです。

つまり、『鑑定書つきダイヤモンド』や『鑑別書付きエメラルド』といったジュエリーは簡単に作る事が可能なのです。

大事なのは、『鑑定書つき』や『鑑別書つき』といった文言ではなく、鑑定書や鑑別書に記載されている内容という事になります。

鑑定書や鑑別書を作成するのにいくら位かかるの?

宝石店によって若干の違いはあるかもしれませんが、大体5,000円~10,000円で作成可能です。

石のサイズや成分分析を伴う特殊な宝石の場合、さらにかかる事もあります。

鑑定書と鑑別書のどこを見れば良いのか?

では、鑑定書や鑑別書が付属しているジュエリーの場合、鑑定書や鑑別書のどこを見れば良いのでしょうか?

まず、ダイヤモンドの鑑定書の場合は次の点を見ましょう。

鑑定書の見るべきポイント

  • ダイヤモンドの4C
  • 内放物の位置
  • 発行している鑑定機関の名称

ダイヤモンドの4Cは直接輝きに関わってくる項目ですので、必ずチェックしましょう。

カラーストーンなどの鑑別書の場合は、次の点をチェックしましょう。

鑑別書の見るべきポイント

  • 宝石名
  • エンハンスメントやトリートメントの有無
  • 発行している鑑別機関の名称

鑑別書は特にトリートメントの有無は必ずチェックしましょう。

一見綺麗に見えてもトリートメントによって色や見た目が改変されていると、天然とは価値が変わります。

もちろん、トリートメントとして適正な価格がついている場合は問題ありません。

鑑定書の見方

ここでは中央宝石研究所の鑑定書を例に見方を説明していきます。

①カット名やサイズが記載されています。

ダイヤモンドのカット名は、一般的なカットであれば『ラウンドブリリアントカット』や『エメラルドカット』などと記載されます。

オリジナルカットなどの場合は、『ラウンドモデュファイドカット』などと記載されます。

モデュファイド(modified)とは改良されたという意味で、『ラウンドモデュファイドカット』とは『ラウンドブリリアントカット』を改良したオリジナルカットということになります。

見た目がラウンドなので『ラウンドブリリアントカット』だろうと思って購入すると、実は違ったという事もありますので必ず確認しましょう。

②ダイヤモンドの4Cが記載されています。

4Cはダイヤモンドの良し悪しを判断する目安になりますので、必ず確認すべき項目です。

また、4Cが分かれば価格の見当がつけやすいというメリットもあります。

③ガードルの厚さやキューレットの有無が記載されています。

極端にガードルが厚かったりすると、輝きに影響するばかりかセッティングした際に横から見た時の見栄えも悪くなる事があります。

④内放物の位置が記載されています。

クラリティの低いダイヤモンドの場合、内放物が中心付近に多く入っていると輝きが損なわれる事があるのでおすすめはしません。

同じクラリティでも出来る限り内放物は外側に寄っている方が輝きは強い事が多いです。

鑑別書の見方

ここではジェムグレーディングシステムジャパンの天然ルビーの鑑別書を例に解説していきます。

①鑑別書はまず宝石名を確認します。

宝石名の前に『天然』や『合成』などの文言がついていますが、『合成』は人工的に作られた宝石という事になります。

『合成石』は天然の宝石と同じ結晶構造をしていますが、天然に算出された宝石ではありませんので、一般的に価格も天然に比べ安くなります。

②エンハンスメントやトリートメントなどの処理の有無が記載されています。

ルビーやサファイヤなどは一般的にエンハンスメント(加熱処理)が行われていますので、エンハンスメントは価値には影響しませんので気にする必要はありません。

ただし、トリートメント処理(含侵や充填処理)の場合は注意が必要です。

トリートメントについては石の価値が変化する処理ですので、しっかりと価格に反映されているかを確認しましょう。

ダイヤモンドの鑑定書にもランクがある?

ダイヤモンドに4Cというランクがあるように、鑑定機関にもランクが存在します。

最も厳格な鑑定を行っている機関の鑑定書を『A鑑定』と呼び、『B鑑定』『C鑑定』になるにつれて鑑定結果が甘く出る事があると言われています。

鑑定機関のランク

A鑑定・・・GIA 中宝宝石研究所 AGTジェムラボラトリー

B鑑定・・・上記以外のAGL(宝石鑑別団体協議会)加入鑑定機関

C鑑定・・・AGL(宝石鑑別団体協議会)未加入鑑定機関

現在日本で『A鑑定』というと、「GIA」「中央宝石研究所(中宝・CGL)」「AGTジェムラボラトリー(AGT)」の3つの機関が挙げられます。

GIAは世界的なダイヤモンド鑑定機関であり、4Cをはじめとする今日の鑑定の基礎を作った最も権威のある鑑定機関です。

中央宝石研究所は日本最大の鑑定機関であり、GIAと並ぶ国際鑑定機関のHRDと提携しており、厳格な鑑定で信頼度の高い鑑定書を発行しています。

そして、AGTはGIAと提携している国内唯一の鑑定機関であり、GIA JAPANのラボの役割も担っています。

AGL(宝石鑑別団体協議会)は鑑定機関が加入する一般社団法人

AGL(宝石鑑別団体協議会)とは、国内の宝石鑑定・鑑別団体が加入する一般社団法人です。

AGL会員は、GIA基準をもとにした「JJA/AGL認定マスターストーン・セット」を基本に鑑定を行っています。

また、定期的に鑑定誤差調査などを行う事で、鑑定の信頼度向上に努めています。

そうした事から、AGL加入鑑定機関の鑑定書は一定程度の信頼度があると言えるわけです。

『鑑定書がついてるから安心』には注意が必要

鑑定書がついてるから安心は注意

鑑定書や鑑別書はあくまでも宝石の特徴を記載したものですので、ついていれば安心というものではありません。

記載事項をよく確認し、納得のいくグレードのジュエリーを購入しましょう。

しかし、残念ながら「鑑定書や鑑別書がついているので良いジュエリーですよ。」と販売しているジュエラーも多く存在しているのが現実です。

鑑定書や鑑別書は付属しているかどうかではなく、内容が価格とジュエリーとしての品質に見合っているかを見る事が肝心です。

ジュエリーは高額ですので、自分で選ぶ場合はお買い物に失敗しないためにも、『鑑定書』や『鑑別書』の基本を頭に入れておくことをおすすめします。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です