宝石の脇に使われるダイヤモンドは本当に『くずダイヤ』なのか?

ダイヤモンドジュエリーには、デザイン性や輝きを高めるために数多くの『メレダイヤ』が使われています。

そして販売の場面にいると、ジュエリーに使われているこれらの『メレダイヤ』『くずダイヤ』と呼ばれるお客様が多くいます。

はたして本当にダイヤモンドジュエリーに使われている『メレダイヤ』は『くずダイヤ』なのでしょうか?

本記事ではダイヤモンドジュエリーに使われている『メレダイヤ』について詳細に解説しています。

『どうせ脇石だから。』と見落としがちな『メレダイヤ』にも品質がある事がお分かり頂ける内容となっています。

メレダイヤとはどんなダイヤモンドなのか?

まず、メレダイヤモンドとはどのようなダイヤモンドを指すのでしょうか?

メレはフランス語の「Melee」から来ており、『小粒のダイヤモンド』という意味です。

具体的に明確なサイズは決まっておりませんが、0.25ct以下がメレサイズと言われています。

メレダイヤは主にジュエリーにおいて、中石を引き立たせるために脇石として配置される事が多いです。

メレダイヤの配置は、中石を取り囲むように留める『取り巻きタイプ』や両脇に数石ずつ留める『サイドストーンタイプ』などパターンはいくつかあります。

シンプルな中石のみのジュエリーに比べ、メレダイヤが加わる事でデザイン性や華やかさをプラスする事が可能になります。

メレダイヤのサイズ

メレダイヤのサイズについて、JJA(日本ジュエリー協会)の書籍などを確認すると0.25ct以下と定義されていますが、実際の販売の場面では、メレダイヤというと0.1ct~0.15ct以下辺りのサイズを指す事が多いように感じます。

サイズを区別するために、0.15ctより大きなメレダイヤは『ラージメレ』などと呼ばれる事もあります。

また、0.02ct以下の極小サイズのメレダイヤは『スターサイズ』と呼ばれたりします。

ジュエリー卸しの世界では、メレダイヤのサイズを100分率で表す事が標準となっており、%(パーセント)を使います。

例えば、1/200なら『200パー』と呼び、約0.005ctのメレを指します。

サイズ(%)カラット数(約)直径(約)
1/200 0.005ct1㎜
1/1000.010ct1.3㎜
1/700.015ct1.5㎜
1/500.022ct1.7㎜
1/400.025ct1.9㎜
1/200.050ct2.5㎜
1/100.100ct3.0㎜
1/70.1503.5㎜

メレダイヤの形状

メレダイヤには様々な形状が存在します。

もっともポピュラーなカットがラウンドのメレです。

ラウンドカットの他にメレダイヤには『バケット(長方形)』『テーパー(台形)』『トリリアント(三角形)』などがあります。

輝きの強いラウンドメレに対して、バケットメレやテーパーメレはダイヤモンドの透明感を活かした上品な輝きが楽しめます。

また、バケットやテーバーの場合、ダイヤモンドのクラリティが一定以上でないと内放物が邪魔をして綺麗に輝きませんので、メレのクラリティも重要となってきます。

トリリアントは三角形ですので、サイドメレのデザインで中石を目立たせたい場合に有効です。

メレダイヤは、形状や輝きの違いで使い分けられているわけです。

ラウンドメレダイヤのカッティング

一言で『ラウンドメレ』といっても、実はカッティングは様々存在します。

ラージサイズのダイヤモンドと同様に58面体にカットされたラウンドブリリアントカットのメレダイヤが主流ですが、メレの場合違うカットも多いです。

ラウンドブリリアントカット以外では、サイズが小さいメレダイヤの輝きを引き立たせるために、58面体より面数を少なくした18面体のシングルカットなどが多く利用されます。

シングルカット(18面体)

面数が少なくなると輝きが落ちるんじゃないの?

と思われるかもしれませんが、もともとサイズが小さいメレダイヤの場合、58面にカットすると1面辺りの面積がかなり小さくなりすぎてしまうので輝きが細かくなりすぎて鈍く感じる事があります。

それに比べ、シングルカットされたメレダイヤは、1面あたりの面積が広くなるので、輝きが強くなると言われています。

そうしたシングルカットのメレダイヤの特徴を活かして、海外の有名ブランドの宝飾時計にはシングルカットのメレダイヤが良く使われています。

メレダイヤの効果とは

メレダイヤをジュエリーに留める事でどんな効果を得る事ができるのでしょうか?

メレダイヤがジュエリーに与える影響

  • 主石の輝きや色味を引き立たせる
  • 全体に輝きのボリュームが出せる
  • デザイン性を豊かにできる

メレダイヤは留め方やサイズによって、様々な効果を与えてくれます。

もっともメジャーなメレダイヤを利用したデザインには『取り巻き』『サイドメレ』などがあり、中心の宝石を引き立たせるために用いられるデザインです。

そして、腕を一文字にしたり、腕をパヴェセッティングにして、ジュエリー全体に華やかさがプラスするデザインも人気があります。

メレダイヤの留め方の例

メレダイヤを利用したデザインには次のようなものがあります。

メレダイヤをあしらった代表的なデザイン

  • 取り巻き
  • サイドメレ
  • パヴェ腕
  • 一文字腕

メレダイヤはサイズの違いによって同じデザインでも見え方が大きく変わってきたりします。

さらに、爪で留めるか、伏せ込みで留るかなどのメレの留め方でも表情が大きく変化します。

メレをあしらったデザインの場合、出来上がりのデザインのイメージしながら、最適なサイズや留め方を選んでいきます。

メレダイヤ=くずダイヤではない

もうすでにお分かり頂けたと思いますが、『メレダイヤ』は『くず(屑)ダイヤ』ではありません。

サイズが小さいだけで、ラージサイズのダイヤモンドと同じカットが施されているので、当然ラージダイヤと同じ品質が存在しています。

つまり、メレダイヤにも『4C』は通用するという事になります。

〇メレダイヤは小さくても通常のダイヤモンドと同じ
⇒メレダイヤにも『4C』の品質はある!!

実際にメレダイヤを1石ずつ全て鑑定する事はほとんどありませんが、透明度が高く、カットの優れたメレダイヤは非常に綺麗に輝きます。

ジュエリーの卸しの世界でも、メレの品質によって同じサイズでも価格は異なります。

じゃあ、なぜメレダイヤは屑ダイヤと呼ばれるのかしら?

安くジュエリーを作ろうと思えば、輝きを無視してメレダイヤの質を極限まで下げれば可能です。

中にはそうした粗悪なジュエリーがある為に、『メレダイヤ=くずダイヤ』と言われるようになってしまったとも言えるでしょう。

これは作り手や売り手の責任とも言えます。

メレダイヤをあしらったジュエリーを選ぶ際はメレダイヤモンドの品質もしっかり確認しましょう。

判断の仕方は通常のダイヤモンドの4Cを同じポイントを確認すればOKです。

ダイヤモンドの4Cについては次の記事を参考にしてください

【ダイヤモンドの4Cって何?】ダイヤモンドの評価基準を詳細解説

ダイヤモンドジュエリーの販売場面では、しばしば『4C』という言葉が出てきます。 実は『4C』とはダイヤモンドの評価基準なのですが、実際に正確に理解している方が少ない…

メレが主役のジュエリーがパヴェセッティング

メレダイヤはメインの宝石を引き立たせる名脇役ですが、実はメレダイヤは主役にもなれる実力を持っています。

メレダイヤが主役のジュエリーの代表が、パヴェセッティングや一文字リングなどです。

メレダイヤが主役のジュエリーの代表

  1. パヴェセッティングのリング
  2. 一文字リング
  3. メレダイヤのエタニティリング

パヴェセッティングのリングもフルエタニティのリングも、ジュエリーのデザインでは定番中の定番と言えるリングです。

どちらも一つは持っておきたいジュエリーの代表です。

パヴェセッティングリング

パヴェ(Pave)とはフランス語で「石畳」という意味です。

その名の通り、パヴェセッティングとは石畳のようにダイヤモンドを隙間なく敷き詰めてメレダイヤを留めたセッティングの事です。

隙間なく敷き詰められたメレダイヤの輝きは非常に強く、キラキラと存在感を発揮してくれます。

ダイヤモンドの輝きとボリュームといった点では、パヴェセッティングのリングはひと際存在感を放ってくれます。

通常は『パヴェリング』と呼ばれ、メレダイヤがトータルで0.5ct~1.0ct前後のサイズ感が人気です。

素材もイエローゴールド、プラチナ、ピンクゴールド何でも合いますので、お好みの素材を選ぶと良いでしょう。

一文字リング

一文字リングとは、メレダイヤを横に一直線に留めたダイヤモンドリングです。

見た目の通り漢数字の『一(いち)』に見えるので、一文字リングなどと呼ばれます。

メレダイヤの留め方は、4本の爪で留めたり2本の爪で両方のダイヤを留める『爪留め』や、地金で挟むようにダイヤを留めた『レール留め』などがあります。

フルエタニティリング

フルエタニティリングとは、一文字のメレダイヤをリング全周留めたリングを指します。

メレダイヤが連なって切れ目のないデザインは、永遠に続く愛や不変の想いを表しギフトとしても人気のデザインです。

また、細身のフルエタニティリングはシンプルに1本で着けることも出来ますし、その他のリングとの重ね着けを楽しむ事もできるため、利用機会が多い事も人気の秘密です。

フルエタニティリングは、トータルで0.3ct前後の非常に細身のタイプからトータル5.0ct前後の1粒がしっかりしたタイプまで幅広く人気です。

また、フルエタニティリングも爪止めやレール留めなど様々な留め方があります。

『重ね着けをするか』、『普段使いかお出かけ用か』や『好み』によってデザインとカラット数を選ぶと良いでしょう。

脇石のメレダイヤの品質にもこだわろう

メレダイヤを使用したジュエリーの場合、メレダイヤの品質にもこだわりましょう。

なぜならば、メレダイヤにも通常のラージサイズのダイヤモンドと同じで品質の良し悪しがあるからです。

メレダイヤの品質は、実際に鑑定書がついている事はほとんどありませんので、ジュエラーの説明や目で見た輝きで品質を見極めていく事になるでしょう。

通常のダイヤモンドの『4C』と同じ要領で各項目を確認していけば、質の良いメレダイヤを使用したジュエリーに出会う事ができます。

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